Baker TG(1972) Gametogenesis, Acta Endocrinol Sullpl 166;18-42を基に厚生省で一部改変
参考:厚生労働省「知っていますか?男性のからだのこと、女性のからだのこと」
卵子は、女性が胎児のときにすでに作られます。妊娠20週までに卵子は急激に増えて700万個になります。ただ、その後胎内で消えてしまい、生まれてくる時には約200万個まで減少します。
誕生後も卵子は数が減っていき、思春期には20万~30万個になり、生理が終わる閉経時にはゼロに近づきます。
卵子は新しく作られることはないので、年齢とともに減少するばかりで増加することはありません。
卵子は胎児期からもっているので、卵子年齢は実年齢+1歳です。
卵子は、2つの卵巣の中で卵胞に包まれた状態で蓄えられています。卵巣で眠っている卵子は「原始卵胞」と呼ばれ、目には見えないほど小さなものです。その原始卵胞は生理周期とは無関係に起きてきて、若いときは1日平均30~40個、月に1000個ほどが育ち始めます。ほとんどはすぐに消えてしまいますが、ごく一部が数カ月かけて18~20mmほどの目に見える大きさになります。
その中からたった1つが卵子として成熟し、月1回の周期で卵巣の壁を破って外に飛び出します。これが「排卵」です。排卵する卵子が決まると、他の卵子はすべて消えてしまいます。
年齢とともに卵子の数が減っていますから、卵巣で起きてくる卵子も少なくなり、最後の段階まで生き残る卵子もわずかとなってしまいます。
この現象によって年齢とともに妊娠しにくくなっていくというわけです。
子どもを望んでいるかたは一度ライフプランライフプランを作ってみてはいかがでしょうか。将来のことを見据えて自分のカラダと向き合いながら「子を産む」ということを考えることができるかもしれません。
年齢とともに卵子は減少するだけではなく、質も低下するのがわかっています。
若い人の卵子は周囲が鮮明でツヤがあり、ピチピチしています(イラスト左)。
年齢とともに、卵子の表面に凹凸ができているのがわかります(イラスト右)。
個人差はありますが、35歳頃になると卵子の表面的なツヤや弾力性が失われ、カタチもいびつになります。カタチが整っていない卵子は、受精しにくいと言われています。
カラダやお肌が年齢とともに変化するように、卵子も老化します。特に35歳を過ぎると妊娠しにくくなり、妊娠・出産の異常が起きやすくなります。子宮や卵巣の病気、過剰なストレス、偏った食生活、喫煙習慣、睡眠不足などでも卵子の老化が加速すると言われています。お肌ならば手入れ次第で若返ったように見せることはできますが、老化してしまった卵子を若返らせることはできません。
ただ、卵子の老化と生まれてくる子どもの能力や資質とは関係がありません。
近年、芸能人の発信で話題になることがある「(ノンメディカルな)卵子凍結」。
特に若い女性の間で関心が高くなっていますが、どの様なものかご存知ですか?
女性の卵子は、年齢とともに数が減少し、質も低下するため、妊娠が難しくなるといわれます。
これは、体外受精等の不妊治療を行う場合でも同じです。
将来、こどもを望み不妊治療が必要となった場合のために、若い時期に卵子を凍結保存する方法が「(ノンメディカルな)卵子凍結」です。
卵子凍結は、ご自身のライフプランを考えて、今はキャリア形成を重視したい、あるいは現在はパートナーがいないけれど、いつかはこどもを産み育てたいと思っている女性にとって、将来的な妊娠や出産の可能性を高める助けとなるかもしれません。
一方で卵子凍結を検討する際に、注意した方が良い点もあります。
卵子凍結は、必ずしも将来の妊娠や出産を保証するものではありません。凍結卵子を使った体外受精等の成功率は高くはなく、高齢での妊娠や出産になった場合に、合併症のリスクが大きくなる面もあります。また、卵子を採取する際に使用する排卵誘発剤等による副作用がおこる可能性もあります。
詳しくはこちらをご覧ください。
公益社団法人日本産科婦人科学会 ウェブサイト「ノンメディカルな卵子凍結をお考えの方へ」
費用面では、「(ノンメディカルな)卵子凍結」は自由診療であり、全額自己負担となります。一般的に、一回の採卵で30万円から60万円かかり、これとは別に、卵子の凍結料や保管料も必要となります。また、将来的に、凍結卵子を使って不妊治療を行う際も、現行の保険制度では健康保険は適用されません。卵子凍結を行うにあたっては、費用についても慎重に考えたほうが良いでしょう。
このように将来的にこどもを望む女性にとって、卵子凍結は、今、行える選択肢の一つとなりますが、そのメリットやデメリット、費用などを十分に理解した上で、検討したいものです。