不妊というのは、避妊をしないで一定期間夫婦生活を行っても妊娠しない状態をいいます。その状態が1年続く場合をいいます。明らかな原因がある場合はその期間を問いません。
不妊の検査や治療を受けたことのある夫婦は4.4組に1組の割合です[出典:第16回出生動向基本調査/国立社会保障・人口問題研究所(2021年)]。
近年は、不妊に悩む人は増える傾向にあります。
妊娠のメカニズムは複雑で、その原因は男女ともにあります。
女性側の原因は、まず卵子が上手く育たないこと。卵子はホルモンの指令によって成長しますが、ホルモンの分泌が少なかったり、卵巣が指令をうまく受け取れないと卵子が育ちません。無理なダイエットやストレスが原因になることもあります。
また、卵子そのものが老化して、うまく排卵しないこともあります。
卵巣と子宮をつなぐパイプの役割の卵管は、とても細いので詰まったり、くっついてしまうことがあります。そうすると、卵子と精子が出会えなくなり、不妊の原因になります。
さらに、子宮に何らかの原因があり、着床しにくいこともあります。子宮内膜症やポリープ、黄体ホルモンが十分に分泌されないなどが考えられます。
不妊の原因は、男女1対1の割合です。
男性の不妊原因でいちばん多いのは、精子を十分に作ることができない「造精機能障害」です。先天性や病気がきっかけになる場合のほか、アルコール、喫煙、肥満が要因のこともあります。
また、勃起や射精がうまくできない「性機能障害」も不妊の原因になります。病気やストレス、血液の量が足りない血管などによって引き起こされます。
不妊の原因はさまざまで、全体の10~20%は原因がわかっていません。
一般的な不妊治療は、次の3つです。
1.タイミング法
検査結果をもとに医師が排卵日を推測、その前後に性行為をする方法です。
2.人工授精
子宮に精子を人工的に注入する方法です。
3.体外受精
体外に卵子を取り出し、シャーレーの中で精子と受精させる方法です。
体外受精をして、妊娠できる確率は1回平均10~20%程度です。
ただ年齢により、確率は変わります。30歳で体外受精して出産にいたる確率は19.9%、35歳で16.3%、40歳で7.7%、45歳で0.6%です。